書評

月刊薬事 2026年5月号レビュー──2026年度診療報酬改定を薬剤師目線で読み解く【月刊薬事レビューシリーズ

2026-05-26

月刊薬事·医療雑誌·診療報酬·病院薬剤師·書評

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月刊薬事 2026年5月号レビュー──2026年度診療報酬改定を薬剤師目線で読み解く【月刊薬事レビューシリーズ #1】

月刊薬事 2026年5月号(Vol.68 No.7、じほう)の書影

「2026年度の診療報酬改定で薬剤師業務はどう変わるのか、現場目線で押さえておきたい」——そう感じている薬剤師に、いまもっとも刺さる1冊が月刊薬事 2026年5月号(Vol.68 No.7、じほう)です。

私は普段、病棟薬剤師として処方鑑査や副作用モニタリングに関わりながら、感染制御・抗菌薬適正使用業務にも携わっています。月刊薬事は私が大ファンで毎月購入している雑誌で、数年前から定期購読を続け、毎号通読してきました。本ブログでは今号から、月刊薬事の月次レビューをシリーズとして継続していきます。第一弾の本号(2026年5月号)は、2026年度診療報酬改定の特集が組まれており、シリーズの出発号としてもタイムリーです。

なお、過去には同じくじほう発行の『1年目薬剤師の強化書』『新人薬剤師の強化書』を比較した書評、別出版社の抗菌薬書として『抗菌薬BOOK&MAP』レビュー『まとめ抗菌薬』レビューも公開しています。あわせてご覧ください。

この記事でわかること

  • 月刊薬事 2026年5月号の特集構成(基礎編・新設項目編・実践編)
  • 新設「病棟薬剤業務実施加算1(300点)」の概要と PBPM の位置づけ
  • 入退院時の薬剤師連携にかかわる加算の全体像
  • 周術期薬剤管理加算・術後疼痛管理チーム加算の運用ポイント
  • 連載陣の魅力(毎月読める固定企画)
  • 定期購読 vs 単号購入の比較
  • 月刊薬事レビューシリーズの今後

書誌情報

項目 内容
雑誌名 月刊薬事 2026年5月号
巻号 第68巻 第7号
発行 2026年5月1日(毎月1日発行)
出版社 株式会社じほう
定価 2,365円(本体2,150円+税10%、送料別)※2026年5月時点
年間購読料 28,380円(12冊、送料じほう負担)
判型 A4変型判/180頁
ISSN 0016-5980
第三種郵便物認可 1959年12月26日

特集名は「これならわかる診療報酬 新設項目から実務対応まで徹底解説!」。

2026年5月号の全体構成

本号の特集は、改定の全体像を「基礎編→新設項目編→実践編」という3層の流れで読ませる構成になっていると私は受け取りました。最初の基礎編は、診療報酬の仕組みそのものや高額療養費・自己負担まわりの見直しなど、制度を俯瞰するための土台づくりに充てられています。続く新設項目編は、薬剤師業務に直接効いてくる新設・見直し加算を一つずつ取り上げ、特に病棟薬剤業務実施加算1とPBPMの関係に紙幅が割かれている点が私の関心を引きました。最後の実践編は、入退院時の連携・褥瘡・周術期・退院後フォローといった現場運用に落とし込むパートで、机上の解説で終わらせない編集方針が見て取れます。私としては、制度の全体像から個別加算、そして現場での回し方まで一気通貫で追える流れこそが本号の読みどころだと感じました。

各パートの執筆陣は、全国の研修指定病院・大学病院の薬剤部で実際に加算取得・運用を牽引してきた実務家が中心です。机上の解説ではなく、現場で回してきた実例ベースの執筆が各領域から集まっている点が、本号の強みだと私は感じました。

私が特に注目した記事3本

毎号、私は注目記事を3本程度ピックアップしてマーカーを引きながら通読する習慣にしています。今号は以下の3本を、自分のキャリア(病棟薬剤師・感染制御・抗菌薬適正使用業務)と照らしながら厚く読みました。

1. 「病棟薬剤業務実施加算1(300点)」とPBPM

2026年度改定で新設されたのが「病棟薬剤業務実施加算1(300点)」です。週1回算定で、従来の加算1が加算2に、従来の加算2が加算3に整理し直されました。

私が読んだ範囲で本記事の核心は、本加算の施設基準がポリファーマシー対策と退院時指導の実績ベースになっている点です。直近3カ月における薬剤総合評価調整加算(A250)の算定回数、ならびに退院患者への退院時薬剤情報管理指導料(B014)の算定割合という、結果指標で要件化されており、組織的に薬学的介入を展開してきた医療機関を評価する制度設計になっています。

加算の運用にはPBPM(protocol based pharmacotherapy management)の活用が前提になります。医師と薬剤師が事前合意したプロトコルに基づき、薬剤の投与量・投与方法の調整や検査オーダーを薬剤師が主体的に実施する仕組みで、医療の効率化と安全性向上の両面に効くタスク・シェアリングの実践例として位置づけられています。

私が病棟業務に携わるなかで、PBPMは「医師の働き方改革」と「薬剤師の専門性発揮」を結びつける具体的な手段として、年々重要性が増している実感があります。本記事はその政策的背景と運用上のポイントを最短ルートで押さえられる構成になっており、加算取得を目指す薬剤部にとって最初に読むべき1本です。

2. 入退院時の薬剤師連携にかかわる診療報酬

入退院時の薬剤師連携を扱う章です。本ブログで以前レビューした『1年目薬剤師の強化書』の編集に携わった執筆者によるもので、現場目線の厚みがあります。

本記事は、2020年度改定で新設された薬剤総合評価調整加算、2022年度改定で新設された服薬情報等提供料3、そして退院時薬剤情報連携加算(60点)といった、入退院期の薬剤師業務にかかわる加算の全体像を整理しています。

私が読んだ範囲で本記事の白眉は、高度急性期病院での実践例が図解で詳細に紹介されている点です。入院前準備センターの薬剤師、外来の薬剤師外来、救命救急センターのサテライトファーマシー、手術室サテライトファーマシー、病棟薬剤師、そして地域医療推進センターまで——「入院前→入院中→退院・転院→在宅」を一気通貫で支える体制が、各ステップでの薬剤師の役割とともに可視化されています。

特に施設間薬剤情報提供書の作成プロセスは、転院調整中から作成し、薬品名・用法用量に加えて検査値や投与薬の用量調節の経緯まで盛り込むという運用が紹介されており、現実的に再現可能な水準で書かれています。現場で、この水準の情報共有をどこまで実装できるか、考える材料になりました。

3. 周術期にかかわる診療報酬

周術期領域には、2022年度に新設された周術期薬剤管理加算と術後疼痛管理チーム加算があり、2026年度改定でも運用面で見直しが入っています。

私が読んだ範囲で本記事の重要ポイントは2つです。

1つめは周術期薬剤管理加算の施設基準。手術室に専任の薬剤師が配置されていること、病棟薬剤業務実施加算1の届出をしていること、周術期薬剤管理に関するプロトコルを整備していること、医薬品情報管理室の薬剤師との情報共有体制があること、当直等との連携体制があること——という、組織的な周術期管理の体制が問われる構造になっています。

2つめは術後疼痛管理チーム加算。専任薬剤師は日本麻酔科学会が実施する術後疼痛管理研修(26時間)の修了が要件です。マンパワーが限られる施設でも、各スタッフが個別に患者を訪問し、事後に情報を集約・共有する運用が事例として紹介されており、「いきなり完璧なチームを組まなくても算定を狙う道筋」が見える書き方になっています。

参考資料として、日病薬の「根拠に基づいた周術期患者への薬学的管理ならびに手術室における薬剤師業務のチェックリスト(2022年度版)」「周術期薬剤業務の進め方」「周術期薬剤業務事例集」、日病薬監修『周術期の薬学管理 改訂第3版』、日本麻酔科学会『周術期管理チームテキスト第5版』、日本ペインクリニック学会『術後痛ガイドライン』が紹介されています。本記事を起点に芋づる式に学習を広げられる構成です。

連載陣の魅力──「毎月読める」価値

月刊薬事の魅力は特集だけではありません。毎号続く固定連載が、薬剤師の関心領域を広く・継続的にカバーしているのが定期購読の最大の価値だと、私は感じています。

今号で私が「やはり読みたい」と感じた連載の傾向を、自分の言葉で紹介します。まず薬物動態学の連載は、今号では周産期というデリケートな場面での投与設計を題材にしており、計算と臨床判断を橋渡しする実践的な内容でした。救急領域の連載は多発外傷と大量輸血という緊張感の高い場面を扱い、検査値ケースの連載は一つの数値異常からどう読み解くかという思考過程を追体験させてくれます。新薬を多角的に読み解く連載や精神科の処方をめぐる連載、在宅救急を対話形式で学ぶ連載、糖尿病のシックデイ対応をまとめる連載など、領域の幅広さも私が毎号楽しみにしている理由です。今号からは生成AIを現場でどう使いこなすかという新連載も始まっており、薬剤師の関心の変化を編集部が機敏に拾っている印象を受けました。

なかでも薬物動態学・検査値ケース・新薬を読み解く連載は、薬剤師であれば毎月の積み重ねが効いてくる定番だと私は感じています。

良かった点

1. 改定のタイミングに合わせた網羅性

2026年度改定の発効は6月ですが、本号(5月1日発行)はその直前というベストタイミング。基礎編・新設項目編・実践編の3層構成で、全体像→個別加算→現場運用まで一気に把握できます。

2. 各加算の「実績指標型」要件への対応軸が明示されている

特に病棟薬剤業務実施加算1は、「薬剤総合評価調整加算 直近3カ月で10回以上、退院時薬剤情報管理指導料 4割以上」という結果指標で要件化されているため、組織として何を積み上げるべきかが明確です。本号はその積み上げ方を実例ベースで提示してくれます。

3. 執筆陣が実務家中心

特集の主要執筆者が、全国の研修指定病院・大学病院の薬剤部で実際に加算取得・運用を牽引してきた先生方で構成されています。「理論」ではなく「やり方」を聞ける構成です。

4. 連載陣の継続性

新薬ななめ読み67回、薬物動態学17回、検査値ケースファイル10回など、長期連載が多く、月刊薬事を1年購読すれば毎月新しい1テーマ+連載7〜8本が積み上がります。学習の継続性という意味で、書籍にはない雑誌ならではの強みです。

物足りない点・注意点

率直に書きます。本号も完璧ではなく、購読を検討する人が知っておくべき制限はあります。

1. 改定の最終公示前の情報を含む

5月号は改定発効(6月)前の発行のため、一部の項目は告示後に細部が更新される可能性があります。施設で算定を開始する際には、必ず最新の厚生労働省通知と照らし合わせる読み方が安全です。

2. 単号価格は決して安くない

定価2,365円(税込)は、月刊誌としては相応の価格帯ですが、新人薬剤師にとっては毎月の負担になります。電子版(医書.jp、m2plus)や、職場の図書室での購読、または年間購読(28,380円、送料じほう負担)で実質月2,365円弱に抑える選択肢があります。

3. 特集テーマは号ごとに大きく変わる

診療報酬改定のような全薬剤師向けの特集もあれば、特定領域(精神科、緩和ケア、腎臓など)に特化した号もあります。バックナンバーの目次を確認して、必要な号だけ単号購入する読み方も合理的です。

定期購読 vs 単号購入

項目 単号購入(12冊) 年間購読
価格 2,365円×12 = 28,380円+送料 28,380円(送料じほう負担)
送料 都度発生 なし
配送 都度注文・到着 自動配送(毎月1日発行)
バックナンバー 必要号を選んで購入 12号分セット
図書室・職場活用 個人購読向き 個人購読向き

毎月読むなら年間購読が圧倒的に簡単です。送料負担分が浮き、注文の手間が消えます。私はこの利便性を理由に年間購読に切り替えました。

月刊薬事レビューシリーズの今後

本ブログでは、今号を第一弾として、月刊薬事を毎月レビューしていきます。シリーズの方針は以下のとおりです。

  • タイトル形式:「月刊薬事 〇〇年〇月号レビュー──〇〇特集を薬剤師目線で読み解く【月刊薬事レビューシリーズ #N】」
  • 対象:その月の特集記事3本+連載の魅力
  • 発行サイクル:毎月1日発行→ブログは月内(数日以内)に公開
  • note との連動:各号の特集テーマと相性の良い note 企画を提案

本記事に対して著者・編集部から反応があれば、丁寧な返信を心がけます。月刊薬事の編集部、ならびに執筆陣の先生方には、薬剤師としての学びの機会を毎月いただいていることに、この場を借りて感謝申し上げます。

あわせて読みたい記事

さらに深く学びたい方へ(note 連動)

本号の特集テーマ「2026年度診療報酬改定」と、私が公開している実務系noteは内容が接続できます。

新設された病棟薬剤業務実施加算1の施設基準である「薬剤総合評価調整加算 直近3カ月で10回以上」を取りに行く現場では、処方鑑査の質と一貫性が不可欠です。アレルギー歴確認と成分ベースチェックの実務をテーマにしたnoteは、その質的基盤を作るのに役立つはずです。

総評

⭐⭐⭐⭐⭐(5段階で5) 2026年度診療報酬改定のタイミングに合わせて、薬剤師業務にかかわる新設加算を網羅。病棟薬剤師・薬剤部マネジメント層には特に必読。

購入リンク

📚 月刊薬事 2026年5月号(じほう、Vol.68 No.7、2026年5月1日発行)

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年間購読を検討する方へ

じほう公式:月刊薬事 年間購読ページ(送料じほう負担、28,380円)


著者について 現役の病院薬剤師。薬物療法専門薬剤師、医療薬学専門薬剤師。普段は病棟薬剤師として勤務しながら、感染制御・抗菌薬適正使用に関わる業務にも従事しています。月刊薬事を含む医療雑誌を継続的に通読し、現場で活きる学びをブログとnoteで発信しています。

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